秘伝.11

近くと遠くを極端に描き分けるのが、
遠近表現のコツです


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絵の素となる風景画の写真を選ぶ基準として、遠景・中景・近景の出来れば3つ、最低2つ以上が入った写真を選ぶとよいでしょう。
たとえば遠景のみとか近景のみでは絵が平板になり、遠近感が魅力の風景画の特色が出し切れないからです。
そして描く段階では写真以上に思い切って遠景と近景の差違を強調することにより、大げさに言えば3D効果が生まれ、絵に広がりと深さが生まれます。

その描き方として、遠景は全体に淡くてコントラストを弱くし、遠くに行くにしたがって青っぽくしていきます。
近景はその逆で、全体に原色に近い強い色で、コントラストの強さを意識した彩色が効果的です。
それらを同一画面で極端に描き分ける、つまり写真以上にその差違を強調することにより、遠近感が表現できます。


作品8-1























遠景には古い城、近景には最新の船。この船は城のある運河を通り過ぎるだけですが、2つだけを描き、背景である城とその周りの森を淡く描くことにより、2つを結びつけるドラマ性を創出しようと思いました。


その素となった写真ですが、背景の木々のコントラストが強くて船の輪郭さえもわかりにくくなっているため、背景の木を大胆に省略しました。
また木々の緑を分けるためにも、船体の色を青にしました。