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街並に伝統が息づいている


鎌倉は名所旧跡などの観光スポットが街のあちらこちらに点在しているため、
観光客は観光スポットから次のスポットへと、
ぞろぞろ鎌倉の街を歩くことになります。

しかしよく観察してみると、
観光スポットもさることながら、移動途中の街並みの風情を楽しんでいるようです。
街の風情こそが、ちょっとした伝統そのものなのです。



大町の谷戸を通る道で、美しい瓦屋根の風景を見つけました。
この道はこれまで絵の風景を探して何回も通ったのですが、うっかり見落としていたようです。
散歩の楽しさは発見の喜びであることを、しみじみ感じた一枚の絵です。



この古ぼけた日本家屋の住人は、
表札から想像すると外国の方のようです。
湘南にはたくさんの外人さんが住んでいるのですが、
なかには日本人以上に日本を勉強し、
私たちが忘れてしまった日本的な生活を実践している方もいます。
ここの住人はそんな日本通の方かも知れません。

描き方のポイント
風景画の楽しさは、発見の楽しさでもあるのです。
有名な風景よりも、目立つ風景よりも、誰もが見過ごしてしまうような日常の風景にこそ、新鮮な感動がある。
それを発見し、発見の感動を絵にすることを、私は無常の喜びとしています。
→詳細はP86「感動を描く、だから写すのは感動」参照



(次のページ)


かやぶき屋根のある風景を描きたくて、
私は全国いろいろなところへ取材の旅をしました。
しかし、多くのかやぶき屋根の風景は
時代や繁栄から取り残された実に寂しげな風景でした。
しかし京都府美山町のそれは全く違っていました。
美山の方々はかやぶき屋根こそ風土が育んだ貴重な文化遺産であると感じ
大切に守っていることはひと目でわかりました。

美山と同じように、
鎌倉の人は
文化を伝承することの大切さを充分知っており
その意識の高さが、街並みに反映されているように思うのです。


お正月の若宮大路は、八幡様への参拝客で大にぎわいです。
この通りには古い店がたくさんありますが、
この酒屋さんのように昔とちっとも変らない佇まいに、
参拝者はその古さを楽しんでいるようです。

成就院近くの木造家屋ですが、
木造家屋の美しさについ見入ってしまいました。

建長寺の近くに
日本家屋を改造したお店を発見しました。
ここの看板メニューはシチューで、
じっくりと煮込んだデミグラスソースは絶品とのことです。


描き方のポイント
風景画の素になる写真は数多く撮ることがひとつのポイントですが、
気に入った写真の中に、描きたくないもの、雰囲気を壊しているものも写っていることがあります。
そんな時は、描きたくないものや、雰囲気を壊してしまうものを、大胆に省略するのがコツです。
→線の省略はP94「描く線、描かない線」 色の省略はP102「塗り過ぎない」参照



(次のページ・レイアウトにより真ん中の絵と文を省略)


日本の多くの街は、郊外に大型ショッピングセンターできたことから、
街の様子が一変しました。
旧来の街の中心をなす商店街はシャッター通りとなり、
おまけにフランチャイズ・チェーン店が幅を利かせたため
北海道の街なのか、
九州の街なのか、まったく見分けがつかなくなるほど、街から個性がなくなりました。

しかし、鎌倉・逗子・葉山の街は商店街がしっかり元気で、
その街らしさが残っています。
大型ショッピングセンターをつくるほどの大きなスペースが確保が困難なことも理由のひとつですが、
「大切なものを失いたくない!」という市民の意識の高さも、大きく影響しているような気がします。


鎌倉駅にほど近いところに長い歴史を持つ御成小学校があります。
こんな学校で学んだ子供たちは、
モノを大切にする心が育まれるでしょうね。

このお店のご主人は、盆栽がご趣味なんでしょうね。
店先によくありがちな、ありきたりの飾りつけより
はるかに心がこもっていると思いました。
天気のよい日には街を散策します。
手入れの行き届いた庭先、 野草の花々、塀越しの木々を眺め、偶然出会った古寺にふと立ち寄ってみる。
この地に住むからこそこんな贅沢が出来る、としみじみ感じるのです。

描き方のポイント
風景画は、一枚の絵の中にいろいろな要素が入ります。
たとえば、木や草、家や人・・・。
しかし、それらのいろいろなものがハーモニーとなって、一枚の絵の中で一体化するからこそ魅力的な絵となるのです。
ハーモニーのある絵を描くための方法はいろいろありますが、塗る順番にこだわって描くのが最も簡単な方法です。
→詳細はP98「塗る順番が成功の決め手」参照