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「トレース水彩画」秘伝その8  マテリアル(質感)の表現の仕方
私は画家として出発した当初は、ペットを専門に描いていました。
そこで苦労したのは、ペットによって毛並みがそれぞれ違い、それを描き分けることでした。
そこから学んだことは、心の中でイメージして描けば、イメージに近づいていくということでした。

ペットの絵で実践


柴犬の「黒ちゃん」の毛はちょっと硬めの直毛です。
明るい毛の部分よりも、最後は暗くなってしまう黒い毛の部分こそしっかり線を描くのが、ポイントです。
毛並みを描く


ファッと柔らかいのですが、ちょっとチクチクする毛並みをイメージしながら、毛並みに沿ってボールペンを走らせていきます。
「根気のいる単調な作業で、私には無理」とお思いでしょうが、30分も描けば終わってしまうほどですから大変ではありません。
線画の完成


ちょと薄いような気がしますが、この上に彩色するので、それを計算に入れれば、このくらいがほどよい線の密度です。

彩色する

彩色して絵が完成しました。ちょっとゴワゴワした毛並みのディテールが表現されていると思います。
実はこの絵で特に強調するような描き方したところがあります。それは「目」です。目の周辺のコントラストを強くし、目の黒い部分に白いハイライトを入れました。それだけでなく、目から遠い耳や胴体の部分を意識的に弱くしたことも、目ヂカラへを強めることに役立っています。


ポイント

絵は描く人の心のありようを正直に映し出す鏡だと思っています。
その中でも線画に顕著に現れます。つまり一本の線がストレートに描く人の心のありようを表現するのです。
柔らかい花弁を描くときは、気持も花弁になったように柔らかく、ガラスを描くときはにはガラスのように冷たい心で。描く対象になりきることで、マテリアルが表現できます。

       これまで描いたペットのほんの一礼ですが、
       毛並みの触感がイメージできると思いませんか。