目次へ

次へ

「トレース水彩画」秘伝その14  欠点をカバーする「とっておきの最後の一色」

カメラで言えば、レンズに1枚フィルターをかけるテクニックです。
とっておきの一色を絵全体に塗り重ねることで、絵にコクと深みが生まれ、さらに全体にまとまりが生まれます。
その上、七難隠すといいますか欠点をカバーする効果もあります。
このテクニックを使えば、絵がワンランクアップすること間違いなしです。


いったん彩色の終了

透明水彩の特色は、さわやかにサラッと描きあげる鮮度にありますが、ややもすると、淡白すぎて物足りなさの残る絵になることも多いのです。ここで一応べての彩色が終わりましたが、「緑が目に染みる」まで表現できていないだけでなく、
いろいろな要素がバラバラで統一されていないような気がします。

とっておきの一色を決める

上から全体に「とっておきの一色」をぬろうと思います。
緑が目に沁み入る効果をねらい、私は明るい黄緑を選びました。

ポイント

どんな色をぬるか色味の吟味も大切ですが、水に溶いた絵の具はたっぷり過ぎるくらい多めに作ることです。

全体にとっておきの1色をぬる


人物など描かれたものを一切無視して、全体をくまなくバサッとぬり重ねます。1枚のフィルターをかけると思ったほうがよいでしょう。
ティシュペーパーで押さえる


色を弱めたい部分は、濡れているうちにすばやくティシュペーパーで押さえて取ります。拭いてはいけません。
時間が経つと絵の具が紙に沁み込みますから、時間差で取れ具合が違ってるため、その効果を利用しましょう。

完成!

最後にハイライト部分にホワイトをちょっと入れて絵が完成しました。
これで「緑が目に染みる」景色が表現されたようです。

ティッシュペーパー3つの活用法

私にとってティッシュペーパーは絵を描くための必需品です。
つねに彩色の時は、右手に絵筆、左手にティッシュペーパーを持って描いています。私の3つの活用法とは

  1 彩色が失敗したとき、すばやくティッシュペーパーで押さえれば、ほとんどぬる前の状態に戻ります。
  2 淡い色を出したい場合、あえてちょっと濃い色を塗り、時間をおいてティッシュペーパーで押さえると、淡い色が彩色できます。
  3 グラデーションを描くときに、ティッシュペーパーの時間差で色調を調整します。