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秘伝11  塗る順番が成功への決め手

色を塗る順番はとても重要です。
理由は、彩色はオーケストラに似ていて、すべての楽器がひとつのハーモニーを奏でなければならないことです。
それには、絵の初期の段階から最終段階までのどの段階においても、つねにハーモニーを意識する描き方、つまり彩色のどの段階でも「それなりに絵になっている」ことを意識して「絵全体としてぬり進む」ことが大切です。

人力車のある風景で実践!


素となる写真です。
これを魅力的な絵にするには、新緑の美しさと、光の分と影の部分のバランスにあるようです。



線画を描く


写真をトレースして線画が完成しました。




彩色その1 明暗でぬる


最初の一色は色味(色相・彩度)を無視し明暗だけで描きます。
彩色のポイントはたえず出来上がりをイメージしながら描き進めることが大切なため、最初に明暗で描くのは非常に有効です。

→詳細はP20「彩色はまず明暗で描く」参照
彩色その2 素地の明るい色をぬる


素地の色=素材の持つ地の色の明るめの色を塗ります。
この段階でのポイントはいろいろな木や草がありますが、個々にこだわらず大ざっぱに塗り重ねることです。

彩色その3 素地の詳細な色を塗る


次にもう少し強い色で、個々の木や草などを吟味しながら塗り重ねます。

彩色その4 影の色をぬって完成!

最後に影の色を塗り、絵の完成です。
影は灰色や黒などの無機色は避けたほうがいいでしょう。光感がなくなるからです。
少し暗めの紫系の色にすることで、強い太陽の光が表現されます。
仕上げに色のはみ出た部分などを白色で修正し、サインを入れて絵の完成となります。


ポイント

できあがった絵は、色彩が目に飛び込んできます。それに比較して、線画の段階で描かれた絵や、色彩の第一色で塗られた明暗だけの絵はほとんど目立ちません。
しかし、絵を成功に導くのは、この2つの貢献が大きく、逆に言えばこの2つさえしっかり出来ていればその後の色彩を塗る行程は簡単に描くだけで魅力的な絵になります。