なくして、そして付け足して心象を描く


写真通りに描く必要はありません。写真は絵を描くための素材に過ぎませんから。
絵を描く前に「何を描きたいのか?」と、絵のコンセプトを明快化する必要があります。それが決まれば、写真をどのように活用するか、ときには修整するプランニングも必要になります。


下の写真はプロヴァンスを旅した折の、古い修道院前の菩提樹の樹のある風景を撮ったものです。
この時ふと感じたことは、菩提樹の樹は心を癒してくれる不思議な力を持っているのではないか、と強く感じました。そのような風景、もっと言えば心象風景をコンセブトとして絵にすることにしました。



上の写真と下の絵とはいくつか違う箇所があります。
なくした部分は、手前の1人をなくしました。私の「気持ち」を表現するには、ゼッタイ1人のほうがいいと感じたからです。
付け足した部分は、菩提樹の茂みを深くしました。たっぷりした茂みのほうがコンセプトに近いのではないかと思ったからです。


絵を描く楽しさは、実際の風景を素にして描き手の心象を引き出す楽しさにあります。
たとえば、老人の「杖」を残すか削るかずいぶん悩みました。そのひとつをとっても絵のイメージを大きく左右するからです。


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