しっかり描く23.　色を塗らないのも彩色

トレース水彩画は写真をトレースするだけでなく模写までして描く画法ですが、なにもかも写真に忠実に描かなければならないものではありません。無駄な部分や、目的に合致とない部分はドンドン省略したり、変更したほうがいいでしょう。 たとえば美しい風景の中の電柱を省略する・・・これは形の省略ですが、色彩の省略もあるのです。 課題の写真を素にさわやかな絵を描きたいのですが、この写真は、走っている青年、海と空、砂浜の3つの要素からなっていますが、砂浜の色彩が強くて重く、さわやかな絵としての目的を阻害しています。 そのため線画で存在感は出すものの、砂浜の色を塗らないことにしました。

クリックすれば絵を描くための原寸写真がでます。 これを素にあなたも絵に挑戦しませんか。 朝の逗子海岸を走る高校の運動クラブのようです。 大半はユニフォム姿ですが、私服の人もいるのが楽しいですね。 水平線の向こうに富士山が見えます。

線画が完成しました。 海と富士山は最も弱い線で描きました。

第一色のモノクロの後に、背景の海と空を極力弱い色で描きました。

全体の色が青系統でまとまっているのですが、ちょっと寂しいので、一人だけカラフルなシャッとしました。 魅力的な絵にするためには、素の写真にこだわる必要はありません。

濃い灰色の砂丘の彩色をしなかったために、全体がさわやかで透明感のある絵になりました。朝や富士山の雰囲気も出たと思います。 全体が青基調の中、黄色いシャツも効果的だと思います。 目次へ　ラインへ