しっかり描く6. 強い線と弱い線を描き分ける


初心者の方の写真をトレースする線画での陥りやすい問題点は

  @線が乱暴すぎること →写真の輪郭をゆっくりていねいになぞります
  A総じて筆圧が弱く、弱々しい線画になること →指先が白くなるような強い筆圧で描きます
  B線の強弱がなく一本調子であること →思い切り強弱をつけます

今回の課題は込み入った絵になりますが、大きく見れば近景と遠景の2つに分かれます。
近景を強い筆圧で描き、遠景を極力弱い筆圧で描き、遠近感を表現します。
問題点Bの線の線の強弱に該当します。

クリックすれば絵を描くための原寸写真がでます。
これを素にあなたも絵に挑戦しませんか。


この写真は秋のパリ、セーヌ川沿いの風景です。
船の斜めに上げた桟橋は、ちょっと邪魔なので省略することにします。

近景の船は強い筆圧で描きました。
といっても強い線だけでなく、弱い線も織り交ぜて描くことにより、ディテールを表現しました。

遠景を描いているところです。
極力弱い筆圧、ボールペンを紙の上に置くような筆圧で描いています。

線画が完成しました。
近景と遠景にはっきり差があります、それが遠近感を作ります。


絵が完成しました。
この絵で意識したのは、近景の古典的な船と遠景のパリの街並との距離感にあり、
それはとりもなおさず秋に入ってひんやりとしたパリの街の空気感をも描いたつもりです。


この絵はどちらかといえば細部まで描いた絵となりましたが、
細かい絵を描くのは大変でしょう!とお思いでしょうが、多少手間がかかりますが思ったほどではなく、
その分密度の高い絵を描くことができます。

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