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トレース水彩画Q&A 絵を描く前に、何かしなければならないことがありますか? 


絵の素になる1枚の写真が決まれば、描き始める前にしっかりプランニングすることが大切です。
まず最初のプランニングは、何故この写真を選んだのか?そのことをしっかり考えることが大切です。
当然のことながら「こんな絵を描きたい!」と思ったからこそその写真を選んだのですが、もっと深く写真を見つめなおし、その写真の何処に魅力があり、その写真の何処を強調したいのか考える必要があります。
なぜならその思考の行程を通して、絵のテーマが鮮明化してくるからです。
そして絵のテーマをより明確化することで、よりメッセージ力を持った絵になっていくのです。

その具体的な方法として、私は映画監督になったつもりで、写真の中での描く柱となる「主役」、主役を補佐し引き立てる「脇役」、その舞台り環境づくりとなる「エキストラ」を決め、どのようにしたら主役が引き立つドラマが生まれるかを考えることにしています。

その次のプランニングは、主役・脇役・エキストラが決定すれば、完成 された絵のイメージを想定することになります。
その中で自分の絵画の技量や能力、好みを入れながらイメージの中で修正を行いながら、具体的にそして細部にわたり完成された絵のイメージを再構築していくことになります。

私にとって絵を描く楽しさは、実際に描く時間より、この思考する時間かもしれません。

  ボードを持って海に向かう女性ですが、波の大きさに勇気を奮い起こそうとしているようです 。

この絵を描く前に、何度も何度も考えたことは、サーフボードの色でした。
そして結果としてピンクに決定したのですが、背景の海の色から引き立つ、魅力的な絵にったと思っています。

近衛主役は当然ながら女性、脇役は波であることは明快です。
しかし水に映りこんだ人物の水面がエキストラで、これが重要な役割を果たしていると思っています。